阿吽少年ズ



見渡す限りの広大な時間の中に
只の点として
降り立った阿は
韋駄天の如く
高速に走り
その絡まった時間を
切り取る
吽はそれを受けて
その点を結び
広大な時間の中に
線を張る
ビンと張った線は
収縮可能で
この時間を収縮させるから
二人の顔は定まらない

時間旅行に持って行く物は
阿が用意する役目で
中央の部屋に
出来るだけ多くの物を押し込める
その多くの物の中から
必要なものを選別するのが
吽の役目で
容赦なく片っ端から捨てていく
非情なまでの捨て振りは
見ていて気持ちがいい

くじらの缶詰
ゴルチエのブーツ
エルスケンの写真集
昭和のゲーム機・・・・・・
残された物を見ると
必要だと言われている物は
やはり必要なのだと
思うわずにはいられない

群れをなす点の人々は
点描のように
濃淡を描いて
まるで何かを示唆しているようだが
そうでもない
カオスが見せる表情の理論を追った阿は
そっと吽の胸に
くじらの入れ墨を彫る
吽はそのくじらに手を置き
合掌をして
目一杯、息を吸う
肋骨が軋むほど音をたてた時
二人の潜行は始まる

潜行時間は、多分
太陽の南中と
同じくらい
それでも、二人には
永遠のような時間で
砂時計が高速に回転している
もう何者でもなくなる二人は
概念として存在し
強烈な音声を発する
それは、
サヨナラ
と我々には解読出来ようが
二人には
電子的な言語の変換に他ならない

遊びの駅で下車をすると
空前の魔
二人は元の姿に落ち着いて
誰でも入れる
門となる
筋肉は肥大し
骨は増大する
言語は消え
ただ、意味だけが後に残る
時間が消え、永遠となる

永遠は直線の運動で
無限の螺旋運動とは似て非なるものである
この宇宙は、双子のパラレルな
構造をしているが
それは、この阿が掻き混ぜる
混沌のスープの隠し味に
他ならない

このブードゥースープを
飲み干せば
吽はもっと大きくなれる
その成長を誰よりも
楽しみにしているのも
阿に他ならない

見えるだろうか?
この銀河が只の点となる瞬間を




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